第十一夜

平和の別名       

万博のことです。

いま開催されている2025大阪・関西万博のこと。

開催前から賛否両論ありました。

始まってからもいろいろな意見があると思います。

立場や考え方が違えばいろいろな意見や主張があるのは当然だし、

とても良いことのように思います。ひとつに固まるよりはるかにいい。

でも大阪湾の人工島のあの大屋根リングのなかに、158の国と地域が

参加した博覧会はやはり特別なことだなと思います。

衛星放送やインターネットが普及した今、世界のことは

なんでも知っているような気分になるけど、それは全くの錯覚です。

158の国と地域の何を知っているだろうか?

文化や歴史はもちろん国旗や名前さえ知らない国がたくさんある。

世界のニュースや情報がかんたんに手に入ると言っても

それは実に偏った数か国の声の大きな国の人たちことに過ぎない。

私は世界のことを何も知らない。

そのことに気づくだけでも意味があるのかな、と思った。

言葉も、文化も、気候風土も、歴史も、宗教も、食べるものも、

信じることも違う国が、大屋根リングのなかに集う。

何も知らないけど、確かに隣には違う顔で違う言葉を話し、

違う気候風土で育ち、違うものを食べている人たちがこんなにもたくさんいるのだ。

それは何か解放されるような気分になるし、自由な気分にもなれる。

DAIGO chocolaにも「旅するショコラ」というシリーズがある。

カカオが育ったそれぞれの土地を訪れ

旅するようにショコラを楽しむというコンセプトだ。

カカオの産地となる熱帯の国々のうち何か国が

この万博に集まっているのかは知らない。

経済的に厳しい国々は難しいのかもしれない。

でも大切なことは、リスペクトしあうということだ。

だからいま大阪は平和を象徴する場所だ。

争うのではなく、リスペクトしあう。

平和の尊さを、平和のありがたさを、思う。

たとえ半年間でも、仮設でも。