何を当たり前のことと笑われるかもしれない。近くの桜の葉が色を
変えてゆくのを見てふと思いました。昨年もまたその昨年も同じような時期に
同じように色を変えてゆく。毎年のことなのに毎年ハッと想い、
ちょっと嬉しいような悲しいような気持になります。
空を見上げる。山を眺める。山の表情が変わり始めたなと思う。
濃い緑の山々が少し憂いのある表情に見える。それは微笑みか、戸惑いか。
毎年当たり前に見ることができるこんな景色は実は日本にしかないのだろう。
その土地のその気候風土にしか生まれない育たない出会えない唯一の風景。
ある有名な人が言った「置かれた場所で咲きなさい」と。
でも置かれた場所では咲けない種もたくさんあるのではと思う。
桜が熱帯では咲けないように、熱帯産のカカオは日本では滅多に育たない。
カカオは熱帯では神の果実と崇められ、その昔には貨幣としても
使われた神秘の果実。こんな果実は赤道付近の限られた場所でしか実らない。
現代はその神秘の果実を遠く離れた日本に輸入し、カカオ80%のショコラに
加工され、その恵みを食することができる。Bean to bar。
これって当たり前の事だろうか、いいや奇跡。